エリッククラプトン 息子の話は泣かされる、が彼に泣かされた女性も多数

書評

 

 

エリック・クラプトン(Eric Clapton)の自叙伝、The Autobiography

エリック・クラプトン(Eric Clapton)が10年ほど前に出した自叙伝。

ずいぶん前に買って積読状態だったのですがちょっと前に読了しました。

エリック・クラプトン(Eric Clapton)と言えば、ギター云々、ブルース云々もなることながら

★親友とも言えるジョージ・ハリソンの嫁さんパティ・ボイド(Pattie Boyd)に横恋慕して悶々とした挙句、名曲「愛しのレイラ」を世に送り出して大ヒットした。

★愛する息子、コナーをわずか4歳で亡くし、その悲しみを綴った名曲「Tears in Heaven」を世に送り出して大ヒットした。

言い方は悪いが自身の不幸を余すところなくゼニに変換させる超絶ギターテクニックのクセがスゴイ。

この本↓は彼の自叙伝;原題の”Eric Clapton: The Autobiography”通り、彼の生い立ちから2008年当時までが彼の言葉で語られています。

冗長な表現もあまり無く、ところどころに詩的なっつうかポエティック部分もあり、読んでいて楽しめる内容です。

人生そのものが小説みたいなクラプトン

彼自身の人生が山あり谷ありの人なので、音楽の部分以外のところ(度重なるヤク中、アル中との戦いや華やかだがなぜかむなしい女性関係)にも引き込まれる。

こういう有名人の自叙伝ってどこまでが本人の言葉かわからない部分があるじゃないですか。

昔、長嶋茂雄が自叙伝を出版した時にどこが一番ポイントかを聞かれ、

「まだ読んでないのでわかりません」と答えた話は有名ですが、もう、ゴーストライターに丸投げっつうケースもあるわけで。

この本も共著者として

Christopher Simon Sykes(クリストファー・サイモン・サイクス)というロック系のフォトグラファーの名前が記されている。

と言っても長嶋茂雄氏のように丸投げではなくちゃんと本人が原稿をチェックしている様子が本の最後の方で描かれています。

でも、エリック・クラプトンってブラインドタッチできなくて両手の人差し指でキーボード叩いてるらしいからやっぱり口述だよね。

400ページを超える長編ですが英語は一文が比較的短いものが多いので読み易い。

アル中もヤク中もすべては幼少期のトラウマが原因?

クラプトンに関しては彼がお酒やドラッグに走ったのは息子の死がきっかけ、と思ってる人もいるようですが、もっとずっと前からだし。

彼が女性を含め、欲しい!!と思ったものに対しての強い衝動を押さえられないのは、彼の幼少期のトラウマにあるようです。

彼の生みの母親が15歳で妊娠し、彼を産んですぐにカナダに渡り別の男性と結婚し新しい家庭を持ってしまった。

生まれてすぐエリックは実の祖父母を両親と信じて育てられる、数年後、再婚した母親が父親違いの弟を連れて彼に会いに来た時に感じた疎外感。

母親は産まれてすぐに手放した彼よりも現在の生活でもうけた弟の方を偏愛しているように感じられ、幼いエリックは母親から2度捨てられてしまったような深い心の傷を受ける。

このあたりが淡々と語られていて、これが後年、彼が関わる女性を傷つけてしまう遠因になってるのが読み取れる。

手に入らないものが欲しい・・・

再婚で違う家庭を持ってしまった母への執着がのちにジョージ・ハリスンの妻であるパティに向けられる。

手に入れてしまえば興味を失う・・・

パティ・ボイドは写真によって「そんなにキレイか?」と思うものもあるけど(たまに顔が下膨れだったりするし)20代の頃はとにかくスッゲーキレイだったらしい。

クラプトンも”Unusually beautiful“と本の中で書いている。

Wonderful Today: The Autobiography of Pattie Boyd

あと、彼女、足とかスッゲー長いんだよね。

ジーンズ買いに行って毎回試着室で「殿中でござる」を繰り広げる私とすれば誠に羨ましい。

しかも、パティ・ボイドと言う人は当時の色んなロックミュージシャンから言い寄られたにも関わらず、性格も家庭的で社交的。

友人を呼んで手料理でもてなす、というのが好きなタイプ。

クラプトンはほんとにパティを愛してたのか?

これだけキレイでモテモテなのだから、もっと野心を持ってショービズ界に君臨するとかすりゃいいのに、と思うがそのタイプではない。

子供が欲しくてたまらないのに妊娠しにくい体質のパティを壊滅的に傷つけたのはクラプトンが別の女性を妊娠させたこと(この子供がコナー君)。

これ以前に既に破綻していた二人の結婚生活だが、これに離婚。

親友から奪ってでも結婚した女性なのに・・・と思うが、この本の中でエリックは薄~くジョージ・ハリスンに嫉妬している感じがあるんですよね。

それはジョージの才能ではなく(ギタリスト、と言う点からすれば嫉妬するのはむしろジョージだし)ビートルズのメンバーであり、ジョン・レノンと近しい存在であること。

エリック・クラプトン、ジョン・レノンを崇拝してる感じアリなのですよ。

幼い頃、父親違いの弟に嫉妬したようにジョージに嫉妬している感じも描かれている。

パティ側から描かれたクラプトンの話はこの本の中に詳しく書かれています。

2冊、一緒に読むとより関係性がはっきりわかって面白い。

息子コナー(Conor)の死

愛息、コナーの死の章は読んでてハラハラします。

ただ、愛息っていってもね・・・コナーの母親とはどちらかと言えば遊びの関係で結婚もしてないし・・・ってか妊娠中に既に別れてるんだよね。

なので息子とも一緒に暮らしてるわけではなかった。

コナーの母親(イタリア人女優のロリ・デル・サント)もその後、すぐに別の男性と付き合い始めてるし。

ただ、皮肉なことにコナーが亡くなる前日、クラプトンは初めて一人で息子をサーカスに連れて行き目を輝かせてゾウに見入る息子を見て父性愛を強く感じる。

クラプトンと息子のコナー↓
父性愛に溢れた?クラプトンの眼差し

そして、今後はもっと父親として彼に接していこう、と決心した翌日にあの不幸な転落事故でコナー君は4歳で生涯を終えてしまう。

この時、お悔みのメッセージが世界中から届き、中にはケネディ一家やチャールズ皇太子からのメッセージがあったらしいが、同じく幼くして息子を亡くしたキース・リチャードからの慰めが救いだったらしい。

イギリスの皇室ってこういう場合に弔電、送るのか。

小室Kごときで右往左往する日本の皇室ではちょっと考えられないな。

息子の死の衝撃は相当大きかったようですが、クラプトンには音楽がある・・・

気の毒なのは母親のロリで、コナーの死後彼女は日本公演中のクラプトンのもとに何の前触れもなくフラフラ現われたり異様な行動をとる、その彼女をなだめたのがジョージ・ハリスン(この時は既に別の女性と再婚)。

クラプトンを翻弄したカーラ・ブルーニ

クラプトンって根は紳士なのか、あまり女性のことは悪く書いてないんだけど、唯一苦々しく書かれているのがかつて噂のあったカーラ・ブルーニ

本書の中ではCarlaとしか書かれてないけど、読めばすぐにあのカーラ・ブルーニね、とわかる。

フレンチ・タッチ

知人を通して「大ファンなんですぅ~」とおメメをハート型にして近寄り、クラプトンをその気にさせておいて今度は「ミック・ジャガーさんに会ってみた~い」とおねだり。

で、結局ミック・ジャガーに持っていかれる・・・という。

何とも間抜けな、まぁ、そういう女性いますよね。

クラプトンが好きな人なら多少英語が苦手でも楽しめそうだし、英語が得意ならクラプトンに興味がなくても楽しめそう。

いずれにしても楽しめる一冊。

あと、幼少期の写真も結構あって、イギリスの片田舎らしい牧歌的な貧乏臭さに親近感を覚える昭和生まれのワタシ。

 

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